<概要>
油入変圧器に充填されている絶縁油の諸特性(酸価、体積抵抗率、絶縁破壊電圧、水分)が管理値を超過した際の処置として油交換が一般的に行われている。しかし、油交換では一部の項目が改善されるのみで、特に水分については一時的な改善しか得られない。それは変圧器内の水分のほとんどがプレスボード等のセルロース系固体絶縁物に含まれ、油交換を実施したとしても、固体絶縁物から水分が絶縁油へ徐々に移行し、最終的には油交換前と同程度の水分量となるためである。近年、世界的に普及が進みつつあるエステル系絶縁油(以下、エステル油)は、従来使用されてきた鉱油系絶縁油(以下、鉱油)よりも水分の溶解が高いため、エステル油を使用した変圧器の場合は、油交換により水分量を低減できる可能性がある。
そこで本報告では、油交換処理による絶縁油の諸特性改善効果を検証するため、吸湿状態となった油入変圧器を模擬した試験系を構築し、鉱油およびエステル油を使用した油入変圧器で油交換処理を実施した際の水分挙動について検討したので報告する。
令和2年電気学会全国大会(2020年3月)にて発表。
タイトル:
「油交換による油中水分低減効果の検証」
著者:
後藤隆行, 佐藤学, 長谷川真之, 太田延幸(ユカインダストリーズ)
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