<論文要旨>
変圧器の経年劣化は、絶縁紙から分解されたCO2+COとフルフラールの量によって診断できます。しかし、吸着剤を使った開放型変圧器の場合、CO2とCOガスはブリーザーから排出され、フルフラールはほとんど吸着剤に吸着されます。したがって、CO2 + COおよびフルフラールの正確な値を取得するには、測定値の補正が必要です。
著者らは、これらの変圧器の診断を改善するための新しい指標としてアセトンとフランに注目し、絶縁油への吸着特性と溶解度の実験、実際の変圧器の分解と検査などを実施しました。
我々は以下の事項について確認しました。①アセトンの量と平均重合度残率の間には良好な関係があるが、実際の変圧器ではフランはまったく検出されなかった。②アセトンは吸着剤に吸着されるが、温度変化が少ないため、吸着を補正する必要はない。③絶縁油へのアセトンの溶解度は非常に大きいため、アセトンを使い果たすことはない。④絶縁油の酸化劣化によるアセトンの発生はごくわずかである。
結論として、絶縁油に吸着剤を含む呼吸用変圧器の新しい劣化指標として、アセトンが非常に望ましいと考えられます。
電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌) Vol.117 No.5 pp.706-715
タイトル:
「アセトンによる吸着剤入り開放形変圧器の経年劣化度診断」
著者:
粟田真由子, 水野和宏, 上田豊太郎(中部電力)
太田延幸, 石井敏次, 月岡淑郎(ユカインダストリーズ)
DOI:
https://doi.org/10.1541/ieejpes1990.117.5_706
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