異常診断
油を交換すればよいのでしょうか?
電気的異常に起因するガス成分が検出されたと考えられます。
油交換で一時的にガス成分は減少しますが、異常部位が改善されたわけではないので再びガス成分が増加することが考えられます。
アセチレンは、緊急対応が必要な放電現象や高温過熱時に発生する特異的な成分ですので、高感度に分析して早期に異常を検出する必要性があるからです。
密閉形変圧器の場合は、シールや油劣化防止装置からの外気混入の可能性があります。
変圧器の点検及び追跡分析をお勧めします。
異常診断では、基本的に考慮する必要はありませんが、製造会社特有の装置などが付属している時は必要になる場合があります。
電気協同研究会では、ガスパターン・組成比(異常診断図)・特定ガスによる診断になりますが、その他の診断技術もございます。
対応可能です。当社営業にお問い合わせください。
異常診断には、抽出・分析・診断の各過程があり、それぞれに高い技術と長い経験が必要です。
長年の技術及び診断の経験を持つ当社にご依頼ください。
経年劣化診断
変圧器は期待寿命30年として製造されていますが、使用条件などによって劣化度合いが変わります。
経年劣化度診断を実施することによって、変圧器の劣化程度が把握でき、劣化速度を調べることで余寿命診断も可能です。
劣化診断は、変圧器に使用されているコイル絶縁紙の劣化程度を診断しているため、絶縁油を交換してもよくなることはありません。
油処理は劣化度診断に影響しますので、交換や脱気などの油処理の情報をお知らせください。
油入変圧器の寿命は、交換が出来ないコイル絶縁紙の劣化によって決まると広く考えられています。
電気協同研究会では、変圧器の寿命レベルとして、絶縁紙の平均重合度450を推奨しています。
劣化程度および劣化速度によって異なります。お問い合わせください。
通常、変圧器は期待寿命30年として作製されており、運転開始後15年を経過した時点を目安に実施されてはいかがでしょうか?
経年劣化度診断は、絶縁紙の単位重量当たりの劣化生成物量で診断します。
ですから、変圧器に使用されている紙量の値が分かれば、正確な診断が可能になります(不明な場合は、当社で推定いたします)。
また、油処理をともなう工事などで劣化生成物が減少するので、それらを考慮して診断する必要があります。
負荷率が高くなると油温も上昇しますので、劣化の進行は早くなる傾向にありますが、定量化はされていません。
詳細な情報があれば減少分を補正することも可能です。
また、処理前後のデータがあれば精度よく減少分を上乗せすることができます。
一般特性試験
水分は、絶縁破壊電圧に影響を与える主因子ですので、ご注意ください。
また、体積抵抗率は絶縁油中のイオンやきょう雑物などの影響が大きく、水分の影響は比較的小さい傾向にあります。
酸価と絶縁破壊電圧は、絶縁油の化学的および電気的特性であり、油の状態を示す重要な項目です。
変圧器の保守管理には、油中ガス分析による異常診断を実施することもお勧めします。
主に絶縁破壊電圧の低下に影響しますので、ご注意ください。
また、絶縁物の劣化が促進され、結果として変圧器の寿命を縮めることにもつながります。
PCB関連
PCBはPoly Chlorinated Biphenyl(ポリ塩化ビフェニル)の略で、化学的に性状が安定で、燃えにくく、絶縁性が高いという特徴から、電気機器用の絶縁油等に広く利用されました。
しかし、発がん性などの恐れから1972年にPCBの製造・使用が禁止されております。
日本では、0.5mg/kg以下(1kgの絶縁油のなかに0.5mg以下のPCBが含まれている)のものはPCB廃棄物に該当しないとされております。
PCB製造禁止後に製造された油入電気機器からも、油交換や注油等の作業により微量のPCBが混入した可能性は、完全には否定できません。
実際に1990年代の油入電気機器からも、微量PCBが検出された事例も報告されております。
高濃度PCBか低濃度PCBかは5,000mg/kg超か、以下かで判断されております。
また低濃度PCBのうち、数十mg/kg程度のものは微量PCBといわれております。
試料採油キットを当社でご準備しております。油入電気機器から絶縁油を15~30ml程度採油していただくと分析可能です。
PCB含有が判明した場合、法律に基づいて届出と保管義務が生じます。
その微量PCB含有機器が使用中の場合は、所轄の産業保安監督部に届出るとともに、漏油等が発生しないよう日常点検を継続してください。
廃棄しようとして電路から外したものが微量PCB含有機器であった場合、都道府県知事または政令指定都市の長へ届けるとともに、厳重に保管する必要があります。
環境省の「低濃度PCB廃棄物の処理に関するガイドライン-焼却処理編-(平成25年2月)」、「微量PCB汚染廃電気機器等の処理に関するガイドライン-洗浄処理編-(平成25年12月)」、または経済産業省・環境省の「微量PCB含有電気機器 課電自然循環洗浄実施手順書(平成27年3月)」に基づいての処理となります。
これらの処理を行って、PCBの無害化処理を行うこととなります。
低濃度PCBが含有している油入電気機器を、焼却や洗浄によって無害化する処理のことです。色々な無害化の方法がありますが、焼却法や課電自然循環洗浄法が、最近は注目されています。
低濃度PCB(PCB濃度が5,000mg/kg以下)の廃油および低濃度PCBに汚染された廃電気機器等を850℃以上で焼却して、無害化処理を行うものです。
微量PCB含有変圧器の絶縁油を抜いて、PCBが入っていない新しい絶縁油を注入し、この状態で90日間以上通電することにより、変圧器内を発熱させ新しい絶縁油を自然循環させることで洗浄を行い、PCB濃度を下げて無害化するというものです。
ただし、対象となる変圧器には制限がありますので、詳しくは当社営業担当までお問い合わせください。
焼却法では変圧器そのものを焼却してしまいますので、使用し続けることはできません。
一方、課電自然循環洗浄法はそのまま使用し続けることが可能です。
その他
変圧器の異常診断には油中ガス分析を、絶縁油の状態調査には一般特性試験及び水分量などをお勧めします。
また、15年を経過した変圧器には、経年劣化度診断を実施することで劣化程度や余寿命診断が可能です。
異常診断では1回/1~3年、経年劣化度診断では1回/3~5年を目安に実施されることをお勧めします。
また、異常が発見された場合や劣化が進んだ場合は、周期を短くして実施することをお勧めします。
微量PCB混入の変圧器については、当社営業担当までご連絡ください。