絶縁破壊電圧(JIS C2101)
概要

絶縁破壊電圧は、絶縁油の絶縁性を評価する最も重要な項目の一つです。
絶縁破壊電圧の低下は、短絡や、放電など直接大きな事故につながる可能性があるため、定期的に監視する必要があります。
絶縁破壊電圧を低下させる主要因は、油中水分量の増加が挙げられます。
また、油中に浮遊する固体微粒子(塵埃、スラッジ・金属粉など)などにより影響を受ける場合もあります。
JIS、ASTM、IEC規格に対応

体積抵抗率(JIS C2101)
概要

体積抵抗率は絶縁油の電気の流れ(電流)にくさ(抵抗)の測定をおこないます。
電気絶縁油は長期に渡って稼働させた場合、変圧器内部で生成する金属塩や有機酸など極性物質、荷電物質などの劣化生成物が発生している恐れがあります。
こうした事は、劣化生成物の発生量に応じ電気絶縁性を劣化させますので、定期的に体積抵抗率を測定し、絶縁油の劣化度合いを監視する必要があります。
体積抵抗率は単位体積あたりの電気抵抗値で立方体の向かい合う2面間の抵抗値に相当する値です。

酸価(JIS C2101)
概要

酸化劣化が進むと絶縁油の絶縁性能に大きく影響します。
体積抵抗率は電気的な方法で評価するのに対し、酸価は化学的な方法で評価します。
酸価が0.2mgKOH/gを超えるとスラッジが生成しやすくなるとともに、絶縁油の電気特性を著しく低下させます。
またスラッジは、コイルや絶縁物、鉄心、ラジエターなどに付着すると冷却効率を低下させ、温度上昇にもつながります。
絶縁物の熱劣化をさらに加速させる要因にもなりますので、定期的な監視が必要です。

水分量(JIS C2101)
概要

油中水分量が増加すると、絶縁破壊電圧が下がる要因となります。また体積抵抗率や、酸価値も悪化させる要因となるため、大変重要な管理項目の一つです。
さらに絶縁紙の経年劣化を促進させる要因にもなりますので油中水分を常に管理し、少ない状態に保つことが大変重要となります。

当社では、絶縁油の管理項目として特に重要な表1の4項目を石油学会絶縁油分科会・電気学会で取りまとめられた「電気絶縁油保守管理指針」の基準値に基づき、評価しています。

表1 絶縁油の保守管理基準(電気絶縁油保守管理指針)

誘電正接tanδ(JIS C 2101)
概要

誘電正接は、絶縁油分子の誘電分極に起因する双極子損失とイオンや荷電微粒子の振動に基づく導電損失によって左右されます。
機器内で絶縁油の劣化にともなって生じる双極子の損失が大きい物質や銅イオン、または誘電率の大きい物質の生成の影響で変化し、絶縁油の劣化度合いに伴って変化することが知られています。

セット分析のご案内

油入電気設備保守・保全に必要な絶縁油分析項目をお客様にわかりやすくしたセットにてご依頼を受け賜わっております。

異常診断セット

・油入変圧器の運転状態に異常が無いかを確認したい方。
・変圧器の新規設置または入替等で、初期異常がないことを確認したい方。
・どんな分析項目を選んだらよいか悩んでいらっしゃる方。

【内容】
<変圧器の異常診断の結果を判定・診断し、ご報告いたします>
油中ガス分析、水分量、一般特性試験3項目を測定します。
油中ガス分析で変圧器内の放電や過熱などの異常を確認できます。
一般特性試験の結果から絶縁油の劣化の有無を調べます。

【測定項目】
油中ガス分析
水分量
■ 一般特性試験3項目(絶縁破壊電圧 体積抵抗 酸価

経年劣化度診断セット

・油入変圧器の余寿命が知りたい方。
・多くの変圧器を所有され、更新時期を検討・確認されたい方。
・中古変圧器の購入または、売却を検討されている方。
・変圧器を初めて点検される方。

【内容】
<経年劣化度診断と異常診断の結果を判定・診断し、ご報告いたします>
油中フルフラール分析(又はアセトン分析)、油中ガス分析、水分量、一般特性試験6項目を測定します。
変圧器内の絶縁紙劣化度を絶縁紙劣化生成物(フルフラールまたはアセトン)測定から推定し、余寿命を予測します。
油中ガス分析で変圧器内の放電や過熱などの異常を確認できます。
一般特性試験の結果から絶縁油の劣化の有無を調べます。

【測定項目】
経年劣化度診断(フルフラールまたはアセトン分析)
油中ガス分析
水分量
■ 一般特性試験6項目(絶縁破壊電圧 体積抵抗率 酸価 密度 動粘度 引火点)

酸化安定性試験(JIS C2101)
目的

絶縁油は酸素と徐々に化学反応を起こし、有機酸やスラッジ、水などを生成します。これらは電気絶縁性を著しく悪化させるとともに、酸や水は共存材料の腐食や劣化を促進します。絶縁油の酸化安定性は、油入電気機器の寿命および信頼性の観点に立つと、きわめて重要な特性といえます。

試験方法

銅触媒存在下で、一定圧(大気圧+0.8kPa)の酸素を導入し、規定温度(120℃)、規定時間(75時間)のもとで試料を劣化させ、劣化後のスラッジ及び酸価によって試料油の酸化安定性を評価します。

油中BTA濃度(JIS C2101)
目的

油入変圧器内部で生じる流動帯電を抑制するため、一部の絶縁油には流動帯電抑制剤としてベンゾトリアゾール(BTA)が添加されています。BTAは使用に伴って徐々に消費されるため、定期的に油中濃度を確認します。

原理

油中のBTAをメタノールで抽出し、液体クロマトグラフを用いて定量します。

参考:石油学会編「電気絶縁油ハンドブック」、JIS C 2101

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